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●キーワード |
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経済と景気が低迷していることと、団塊世代の年齢と人口の関係から、50歳以上の従業員の賃金と退職金を含めた労働条件の見直しを急迫した問題としている企業が多くあります。
加えて高齢社会への対応ということで、65歳までの雇用の義務化が法令で定められました。
以下に50歳以上の従業員の雇用に関する一般的なキーワードを揚げ、その中でも中小・零細企業の存続に関連する事項を後段にご紹介いたします。 |
定年延長 |
継続雇用 |
過剰雇用 |
採用の見送り |
技能の伝承 |
退職金倒産 |
賃金・退職金改訂 |
生活給と能力給 |
終身雇用 |
年功序列型賃金 |
従業員の権利 |
年金受給開始年齢 |
保険適用 |
年金支給停止 |
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●定年延長 (定年後の勤務延長、定年後の再雇用を含む) |
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法改正にも記載していますが、定年年齢は本年の平成18年4月から段階的に引き上げられ、平成25年4月からは65歳とすることが義務付けられました。残念ながら法令には逆らえません(交渉していくことは必要です)。 年金資金の情勢や若年者減少に起因する労働人口の維持を考えると、理屈としては理解できますが、本来であれば企業の自治にまかせるべき問題です。 そこで、今回の改正法には選択肢と特例措置が設けられました。
選択肢
1. |
定年の引き上げ |
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2. |
希望者全員を定年後も引き続いて雇用する制度(継続雇用制度)の導入 |
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(1) 定年後勤務延長: |
個別的定年延長であり、退職手続きをせずに継続勤務する。
一般的には賃金は下がるが退職金の精算はしない。 |
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(2) 定年後再雇用: |
定年時に退職手続きをし、期間を定めて再び雇用する。
一般的には退職金は精算され、就業形態を短時間勤務とするなどの理由により、別体系の賃金が適用される。 |
3. |
定年の定めの廃止 |
特例措置
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@労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、A労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者、との書面による協定(労使協定)により、継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準を定めたときは、上記選択肢の 2. の継続雇用制度を講じたものとみなされます。 |
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つまり、 |
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希望者の中から継続雇用する者を選定するための基準を定めることができます。 |
そして、 |
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基準とは・・・、厚生労働省から事例が示されていますが、事例は指導内容ではありません。
労使で充分に協議がなされ、具体性と客観性に留意していると認められるものであれば、企業の実情に応じて定められた基準が尊重されるようです。 |
時限特例措置
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特例措置に謳われている労使協定を結ぶために、努力したにもかかわらず、協議がまとまらないときは、就業規則その他これに準ずるものにより、継続雇用制度の対象となる高年齢者に関わる基準を定めることができます。 この場合にも、上記選択肢の 2. の継続雇用制度を講じたものとみなされます。
この措置の有効期限は、平成18年4月1日から起算して3年を経過する日以後の日で政令で定める日(3年後より後ろにズレるかもしれない)までの間です。 |
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ただし、 |
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中小企業においては、5年を経過する日以後の日で政令で定める日までの間となっています。 |
ちなみに、 |
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労使協定は労使で協議の上で定めることで効力を得ますが、就業規則は会社側が定めて従業員の意見を尋ねる(同意は得なくてもよい)ことで効力を得ます。 |
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●継続雇用 (具体的な処遇) |
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定年以降も就労を希望される方は多くいらっしゃいます。
また、過疎化が厳しい地域では、若い働き手の確保が難しいゆえに、定年以降も雇用せざるを得ない企業も存在します。
60歳時の一般的な継続雇用制度は前述の定年延長へ記載した通りですが、具体的な処遇はその企業の考え方にゆだねられています。
そして、その処遇には以下のものが挙げられます。話し合いでお互いのメリットを見出してください。
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項 目 |
検 討 内 容 |
役職 |
肩書きの有無、責任の度合い |
職務 |
継続か転換か |
就業時間 |
短時間・全日勤務かフル時間・少日数勤務か |
保険適用 |
社会保険と雇用保険への加入(資料あり) |
給与 |
基本給の額、各種手当の有無、公的年金との関係(資料あり) |
賞与 |
支払いの有無と支払い基準、公的年金との関係(資料あり) |
退職金 |
従前の定年時の精算の有無、雇用延長後の適用の有無と支払い基準 |
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役職・職務 (技能の伝承)
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その従業員がその役職に就いていることが対外的に必要な場合や、組織運営上必要な場合を除いて、役職からは離れて、次世代に技能を伝承する役目を担う職務に就いていただくことが推奨されます。
そのためには、慣れ親しんだ専門分野の職務をそのまま継続することとなります。
ただし、精神的・体力的に職務を継続することが困難な場合は、他の軽微な職務に就いていただくことになるでしょう。 |
就業時間
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定年以降も就労を希望する方の約8割は、プライベートな時間を多く持ちたいとお考えです。
つまり、従前よりも短い就労時間を希望されています。
短時間勤務といっても、1日の就労を短くして他の正社員の出勤日全てに勤務してもらうか、出勤日数を少なくして出勤日には始業時刻から終業時刻までフルに勤務してもらうかは、業種や職種に判断が分かれることになります。
販売業での接客といった1日のうちに繁閑がある場合は、猛繁時を中心に短時間就労とすることが推奨されます。
ですが、8割という数字は、都会の大企業を中心とした一定の役職以上に就いている高所得者によるデータです。
諸事情で1時間でも多く就労したい方もいらっしゃいます。
また、開発・製造に携わる職種となると、短時間就労により技能を授受するのは効率がよくないのではないでしょうか。 |
保険適用
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従業員を一人でも雇い入れている会社は労災に加入しなくてはいけません(加入すると、役員を除いて無条件で全員適用)が、雇用保険と社会保険の適用には条件があり、その条件を満たしていない従業員に対しては保険を適用する必要はありません。
関連資料:60歳以降の勤務形態の選択肢と保険給付 |
給与 (事業主・役員の報酬見直し 65歳現役を見据える)
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企業は営利集団ですし、給与は労働の対価です。
これまでは、定年以降の給与を従前の6〜8割とする企業が多くありました。
これは定年退職した公務員が関連団体へ再雇用された場合にならっているようです。
雇用保険の雇用継続給付の対象にもなり得ます。
雇い入れる限りは、企業は従業員の生活を保障する程度の給与を支払う必要があります。
事業継続のために勤務してもらっている場合は特に配慮が必要です。
しかし、経営を圧迫する給与にはできません。
経営を圧迫しないためには、50歳台からの給与は65歳現役を見据えたものへと変更する必要が急迫しています。
ただし、そのためには、事業主や役員が自らの報酬や退職金の積立て額を先に見直して、事業に対する覚悟と従業員への配慮を示すことをご提案します。
また、60歳から厚生年金を受給できる方がいらっしゃるので、その受給額で給与を決定する企業もあります。
しかし、賃金(給与)は労働の対価です。
仕事の成果とは無関係に、年金受給額が多い従業員は給与が少なく、年金受給額が少ない従業員は給与が多いとなっては、気持ちよく就労してもらえるかどうか疑問です。
特に能力主義・成果報酬を唱えている企業が、年金受給額で給与を決定することは、企業の賃金制度そのものをゆがめる恐れがあります。
就業時間を短くして、その分の給与を少なくするのであれば、理解が得られるとは思いますがいかがでしょうか。
厚生年金や雇用保険の雇用継続給付の仕組みを労使で把握し、お互いが納得できる賃金規程を作り上げることを推奨します。
従前と同じ職務に付いて同じ責任を担う従業員に対しては、特に綿密な企業努力が必要です。
なお、賃金形態としては、従前の月給制や日給月給制だけでなく時間給制を取り入れ、生活スタイルに柔軟に対応できる準備が必要です。
賃金体系としては、家族手当・住宅手当・精皆勤手当といった、労働の対価とは異なる手当の見直しをご検討ください。
関連資料:(1) 厚生年金と国民年金の内訳けと給付開始年齢
(2) 60歳台での厚生年金の支給停止
(3) 60歳以上の賃金と公的年金・雇用保険の関係 |
賞与 (事業主・役員の報酬見直し 給与との兼ね合い)
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従前と同じ職務に付いて同じ責任を担う従業員は別として、他の正社員とは別の支給基準を設けるのが一般的です。
この場合において、賞与の計算の基礎は基本給と役職手当というのが大多数の企業です。
賞与を支払う場合は、基本給を据え置いて諸手当を削減するのか、基本給を低くして諸手当を据え置くのか、といった賃金体系を考慮する必要があります。
また、「月々の給与は従前の通りとし、賞与は支給しない」というのも会社の方針の一つです。
関連資料:(1) 60歳台での厚生年金の支給停止
(2) 60歳以上の賃金と公的年金・雇用保険の関係 |
退職金 (事業主・役員の報酬見直し 65歳現役を見据える)
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従前と同じ職務に付いて同じ責任を担う従業員は別として、定年で退職金を支給するのが一般的です。
就業規則に定年が記載されていれば、同じ企業に継続して勤務しても退職所得控除が適用されます。
そして、定年以降の勤続に対する退職金は、他の正社員とは別の支給基準を設けるが一般的です。
この場合においても賞与と同様に給与との兼ね合いを考慮する必要があります。
また、「月々の給与は従前の通りとし、退職金は支給しない」というのも会社の方針の一つです。
定年後の勤務年数による一律の金額とすることも可能です。高度成長期やバブル経済期に作成した退職金規程は、その当時の高金利を想定した支給額であり、それゆえ積立て額も低く抑えています。
どの企業にあっても積立て不足の可能性が充分に考えられます。
経営を圧迫しないためには、50歳台からの退職金積立て額は65歳現役を見据えたものへと変更する必要が急迫しています。 |
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●大企業病 (終身雇用は必要 給与の一部は生活保障) |
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終身雇用制度と年功序列型賃金制度から脱却して目標管理制度による成果報酬へ切り替えた会社が、もとの制度へ戻すことや独自の制度を作り出すことを模索しています。 これは
1. |
目標管理制度と言いながら
(1) 評価期間ごとに区切りがつく仕事ばかりではない。
(2) 数値化する絶対的指標を誰も持っていない。
など、目標と達成基準をキチンと立てるためには膨大な労力と時間がかかることが予想され、費用に見合う効果を期待するには危険度が高すぎること。 |
2. |
成果報酬と言いながら
(1) 役員や部長の力関係で査定が決まる。
(2) 部署の成績で個人の成績がほぼ決まる。
など、今まで伏せていたものが公然たる事実として見えてきたり、業績印象度と評価結果にギャップがあったりすること。 |
3. |
やる気を引き出すための制度なのに、新規事業に関して
(1) 成功実績のある部署の社員は、処遇のいい部署からは異動したがらない。
(2) その他の部署の社員は、成功への青写真がないと参加したがらない。
など、社員が後ろ向きになってきたこと。 |
4. |
せっかく導入した制度をすぐには修正・変更できない、という担当部門のエゴもあり、疑問を感じながらも制度を継続していくうちに不満因子が膨れ上がり、制度変更の英断を下さざるを得なくなったこと。
(導入直後はその慰労として担当部門の成績が上がる) |
などの原因が挙げられます。
もともとは、アメリカでも最も独立心旺盛なペンシルベニア地方の技術者向けの制度ですから、終身雇用を謳う日本の企業とそこで働いてきた日本人には機能しないのでしょう。
また、50歳以降の高額な賃金を抑制する手段として、終身雇用制度と年功序列型賃金制度からの脱却が報道される場合があります。 しかし、地元採用が多い中小・零細企業において、社員の出入りが激しくては地元の評判も決して良いものとはならないでしょうし、独自のノウハウが蓄積されにくく事業存続が難しくなります。
年功序列型賃金制度からは脱却する必要がありますが、終身雇用や長期雇用を謳うことは中小・零細企業には必要です。
逆に従業員側としては、勤続年数が短い社員が多い会社に入社した場合は、自分も近い将来に退職する可能性が高いことを頭に置いておく必要があります。
さて、年功序列型賃金制度から脱却すると言っても、能力給(成果報酬)を取り入れることを推奨することはしません。
実際問題として、中小・零細企業おいては50歳くらいからの給与は据え置きとなっている場合が多いはずです。
あとは、経営状態と地域の生活レベルから、生活給+功労金という形式で定年までの給与を決定してはどうでしょうか。 |
●ま と め |
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希望者全員を65歳まで雇用するために、減給を含めた雇用条件の見直し対策を企業は立てなくてはいけません。しかし、地元採用が多い中小・零細企業が年齢のみを理由にした一方的な減給を行うと、
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若手をも含めた不満因子となりかねない
↓
地元の評価を落としかねない ↓
新卒・中途を問わず、雇い入れが難しくなる ↓
技能の伝承・ノウハウの蓄積が難しくなる ↓
事業の存続が難しくなる
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という負の渦に引き込まれてしまいます。 特に、永年勤続して事業主といい関係を保っていた従業員からの思いもよらぬ不満は、他の従業員への影響が大きく、日々の業務にも差し支えます。
対策案としては、
(1) |
事業主や役員自らの給与、賞与、退職金積立て額を抑える。 |
(2) |
人員整理のための対策ではなく、事業存続のための対策であることを従業員に説明する。 |
(3) |
退職後の生活保障として、共に拠出してきた退職金と失業手当(雇用保険)と年金があることを従業員に説明をする。 |
(4) |
定年前の特定の年齢から65歳までの給与を緩やかに下げる場合は、定年以降の勤務にも賞与または退職金を設ける。 |
(5) |
定年前の特定の年齢から65歳までの給与を据え置く場合は、定年以降の勤務に賞与と退職金は設けない。 |
(6) |
(4),(5)のような仕組みを組み合わせ、従業員の生活スタイルに合ったものを選択してもらう。 |
となるでしょうか。
兎にも角にも、会社の実態に見合った対策を推奨します。 |