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●定 年 |
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年齢を定める場合は60歳(平成18年4月1日から62歳、以降は段階的に引き上げて平成25年4月1日からは65歳 詳細は法改正情報(後日掲載)を参照)を下回ることはできません。
しかし、年齢は定めていても具体的な退職日を定めていないことがみられます。
退職日は会社独自の判断で決定できますが、一般的には
(1) 誕生日
(2) 誕生月の末日
(3) 誕生月の賃金締切日
のいずれかです。
また、X歳に達した日とはX歳の誕生日の前日のことを指しますので、「65歳に達した日が属する月の賃金締切日」のような記述をすると、1日生まれの人は誕生月の前月の賃金締切日が退職日となります。
なお、定年後の継続雇用制度を採用する場合は、
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(1) 定年後勤務延長: |
個別的定年延長であり、退職手続きをせずに継続勤務する。
一般的には賃金は下がるが退職金の精算はしない。 |
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(2) 定年後再雇用: |
定年時に退職手続きをし、期間を定めて再び雇用する。
一般的には退職金は精算され、就業形態を短時間勤務とするなどの理由により別体系の賃金が適用される。 |
のいずれとするのか、また、継続雇用制度の対象は (a) 希望者全員とするのか、(b) 会社が必要と認めた従業員のみとするのかを記載することをお奨めします。
さらに、定年後再雇用の場合は (c) 退職金の積み立てをするのか、(d) 賞与を支給するのかを記載することをお奨めします。 |
●退 職 (トラブル多し) |
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解雇と関連してのトラブルが多いのは、退職と解雇とで退職金の支給額や離職後の雇用保険の給付内容が異なるからです。
感情的な問題ならまだしも、規則の未成熟・不徹底が原因となると、退職していく従業員よりも、今後も在籍する従業員への心理的影響が危惧されます。
一般的な退職事由は
(1) 自己都合
(2) 定年
(3) 期間を定めた労働契約の期間の満了
(4) 死亡
(5) 休職期間の満了
となりますが、
(6) 当社の役員への就任
(7) 相当な期間の行方不明
など、当然なこととして見過ごしてしまうもの、現実的にありそうにないものも記載することをお奨めします。 また、(5)、(7)などは入社時の誓約書へ記載することもお奨めします。 |
●普通解雇 (従業員を陥れるものではない) |
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適応できる職が会社に無いまたは無くなった従業員や、懲戒解雇には至らないけど会社および他の従業員に悪影響を及ぼしている従業員への解雇または退職奨励を可能にするための規定です。
従業員を陥れるための規定ではありません。
大まかな解雇事由は
(1) 心身の障害
(2) 成績不良
(3) 勤務状況不良
となりますが、
(4) 試用期間中に(1)〜(3)の事由または懲戒解雇事由にあたる場合
(5) 業務上の傷病による療養開始後3年を経過し、労災保険の傷病補償年金を受給する場合
など、モラルから外れる行為や会社がまっとうしている社会的責任を記載することと、入社時の誓約書へ記載することもお奨めします。
ただし、権利の濫用とみなされる規定は定めることはできません。
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●整理解雇 (妥当性が問われる) |
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この規定に関しては、会社が独自に定めることはできません。
労働基準監督署が認める解雇事由は
(1) 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となったとき
(2) 事業の縮小その他事業の運営上やむを得ない事情により、従業員の減員等が必要となったとき
となっていますが、(2)に関しては解雇に踏み切るまでに
(a) ムダな残業の抑制
(b) ムダは経費の削減
(c) 役員の賞与、報酬、退職金の見直し
(d) 管理職の賞与、報酬、退職金の見直し
(e) その他の従業員の賞与、報酬、退職金の見直し
(f) 中途採用の制限
(g) 新卒採用の制限
(h) 関連会社への派遣・出向
(i) 希望退職者の募集
(j) 退職奨励の合理的人選
といった社内手続きを、労使間での協議や説明の上で行ったかという妥当性が問われます。
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●懲戒の種類 |
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一般的な種類は
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(1) け ん 責: |
始末書を提出させて将来を戒める。 |
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(2) 減 給: |
始末書を提出させて減給する。
ただし、1回の事案に対する額が平均賃金の1日分の半額、総額が一賃金支払期間における賃金総額の10分の1の範囲内で行う。 |
(3) 出勤停止: |
始末書を提出させるほか、7日以内の出勤を停止し、その期間の賃金は支払わない。 |
(4) 懲戒解雇: |
予告期間を設けることなく即時解雇する。
この場合において、所轄労働基準監督署長の認定を受けた場合は、労働基準法第20条の解雇予告手当を支給しない。 |
で、就業規則の服務遵守事項その他の勤怠のモラルに違反する場合などに、けん責、減給または出勤停止をその情状により科することとなります。 |
●懲戒解雇 (会社と従業員を守るために) |
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解雇のためには30日以上前に解雇予告をするか、解雇予告手当という1日分の給与の30日分以上を支払って即時解雇することになりますが、従業員に悪質な原因があり、かつ、それを労働基準監督署長が認定(解雇予告除外認定)した場合は、解雇予告手当を支払うことなく即時解雇が可能となります。
一般的な懲戒解雇は、以下の解雇予告除外認定の基準に沿った事由となります。
(1) 事業場内における盗取、横領、傷害等の刑法犯に該当する行為があった場合
(2) 賭博、風紀素乱等により職場規律を乱し、他の労働者に悪影響を及ぼす場合
(3) (1)、(2)が事業場外で行われた場合であっても、著しく当該事業場の名誉若しくは信用を失墜するもの、取引関係に悪影響を与えるものまたは労使間の信頼関係を喪失せしめるものと認められる場合
(4) 雇入れの際の採用条件の要素となるような経歴を詐称した場合
(5) 連絡なく他の事業場へ転職した場合
(6) 原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合
(7) 出勤不良又は出欠常ならず、数回にわたって注意を受けても改めない場合
ただし、解雇予告手当を支払ってでも懲戒解雇としたい会社独自の規定を設けることは、権利の濫用とみなされない範囲では可能です。
故意に起こした災害や機密の漏洩などで会社が不利益を被ることは充分考えられますので、会社と従業員を守る規定に作り上げるアイディアが必要です。 |